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ANOTHER TIME  for CRISTMAS ~後編~

ANOTHER TIME  for CRISTMAS ~後編~


この交差点を過ぎればあとは、一直線だ。

待ち合わせ場所変えるべきだったかなぁ・・・
いや、どうせ駅にむかわなければいけないのなら
ここが一番ベストだ。




八王子駅にはいるには、あの階段を上らなければならない。
これが結構な距離になる。
仕事も終わり、これから街に出る時間帯でもある今は
そんな駅の周辺も人が大勢だ。
駅は人ごみが集中している場所でもあった。
駅の改札にむかうには、階段とは別にエスカレーターもあるのだが
上り下りが一人乗りのそれに乗るより、駆け上がった方が断然早い。
心を決めて、階段を走る事を決めた俺は
人ごみの中、一瞬目が止まった。



彼女だった。



彼女は下まで降りてきていたのだ。
ロータリーのガードレールに座る彼女の姿は遠くからでも
しっかり目に止まった。

街のイルミネーションと車のライトで明るい光景の中
彼女の視線は、それらとは別世界の暗い夜空にむけられていた。

ガードレールに座り夜空を見上げる姿…
そんな彼女を見つけ近づく時間の中では
それまでのざわめきさえ
かき消されていくように思えた。

街の灯りより、星空よりその姿は輝いて見えた。

確にあの時、俺には彼女は天使に見えた・・・










「ごめん…遅れた…」

息をきらして言った俺に、彼女は夜空を見上げたまま

「星、綺麗だよ」

その時、はじめて晴れた空に無数の星が輝いていた事に気付いた。
夜だから気づかなかったけど
朝の曇り空も晴れに変わったんだ・・・







ふたりで駅へと階段を上っていった。
これから向かうところは新宿だ。
クリスマスをどうしようかとふたりで話してる中
毎年のように、部屋でケーキを食べて過ごすのも悪くはないが
たまにはクリスマスをもっと感じてみようと言う事で
教会に行く事になった。

高田馬場の近くにあるその教会は、在日の各国の人々も集まる
開放的な教会だった。
誰もが参加できる、イヴのミサに参加してみようと思ったのだ。




中央線のホームで東京行きの快速電車を待つ。
駅もホームも人で溢れていた。
片手にケーキを持つ人も何人もいた。



「あ、ケーキ!どうする?」

彼女が、質問じゃなく、どこで買うの?買えるの?買うんだよ!
と言う強い意志を込めながら聞いてきた。

「ん・・・帰りでも間に合うよ。きっと。」

「ホントに?絶対ケーキは食べるんだからね!」

「だって、今教会で食べるだろ?」

「それとは別!部屋で食べるケーキは絶対!」


そこまでケーキが好きなのか・・・
いや、そうじゃないんだろうな・・・
確かにケーキは彼女にとって重要なのだろうが
今の俺には教会・・・そして、彼女とこうしてこの夜を
過ごしてる事が何より大切だった。




高田馬場に着くまでの時間は、そう長くは感じなかった。

そこから教会までも、なんなく着いた。



大通りから少しはいった住宅街に近い場所にある、その教会は
そこだけが外国のような感じがした。
それほど大きな教会でもないのだが、そこに飾られたツリーと
電飾は派手さはないが、その分神聖な感じもした。


扉を開けようとすると神父が出てきた。


「ようこそ!さぁ、はいってください」

流暢な日本語は、そのアメリカンな容姿には似合わないほどだった。
陽気な雰囲気からは想像もできないくらい、この神父はミサが
はじまると本物以上の神父だったのだが・・・




ミサが終わると、いよいよパーティーのはじまりだ。
ミサの最中は、多少薄暗くてわかりづらかったのだが
かなり大勢の人達がいる。
日本人の数の方が少ないくらいだ。

テーブルの上には、それぞれが持ち寄った料理が並べられた。
手ぶらで参加した、俺と彼女は少し躊躇したのだが
中近東系の彼女が、そんな俺達に気を使い料理を取ってくれた。

神父の合図と共に乾杯をし、初めて会う人達と談笑しながら
様々な料理を食べた。




しばらくすると、オルガンから賛美歌が流れ出した。

俺と彼女は、そのオルガンの音に料理を食べるのもわすれて
しばらく聞き入っていた。







子供の頃に教会に通っていた俺は、このオルガンの音がとても
懐かしく感じた。
教会や大聖堂で聴くオルガンの音色は
俺をどんな時にも安らげる場所へと導いてくれる。
そして、今この安らぎの音を彼女と一緒に聴く事ができた。



この時間とこの場所は、求める心を素直にしてくれるようだ。










本当に大切な事や、本当に必要なものは
どんなに時代が変わろうと、ずっと変わらないのかもしれない。
そして、それは探しても、追い続けても
なかなか見つからないものなのかもしれない。
それらを掴むには、気づく事が必要なのだ。
遠くを目指し、長い時間をかけてそこにたどり着こうとしなくても
それは、いつでも傍にあるのかもしれない。
いつでも手の届くところにあるのかもしれない。
素直な心で見つめてみれば、きっとすぐそこに
それは見つかるような気がする・・・








1時間ほどでミサとパーティーは終わった。

帰りに神父にお礼と言って、教会前で何枚か写真を撮って
また駅へと向かった。





外はずいぶん寒くなってきた。

「疲れてない?」

「大丈夫!それより早く帰らないと!ケーキ屋が閉まっちゃうよ!」

やっぱり、ケーキか・・・




ま、本当のイヴはこれからふたりの時間の中だし
早く帰るとするか・・・






駅のホームには、先ほどまでの人ごみは消えていた。
普段よりも少ないくらいだ。
この時間ともなればイヴの夜に
そう外にいる人もいないだろう・・・




中央線の下りに乗り込み、また八王子へと戻った。
窓からの景色は、街の音も聞こえず、時折見える灯りだけが
電車の速度で通り過ぎていった。
どの季節より暗く感じる冬の夜は、どこまでも静かで
この夜だけが時が止まっているようにも思える。
寒い空気もどこかそんな静かな夜を演出するかのようで
聖夜は確かに今日なんだと言う実感が持てた。



八王子に着くと、閉店した店もいくつもあり
一段とイルミネーションの灯りだけが輝いて見えた。
京王線の駅に行くまでの間にある、ケーキ屋に近づいた。





・・・間に合った・・・

ほとんどのケーキが売れて、閉店間近な感じの中
クリスマスケーキはまだ、あった。
急いで、その中のひとつを買うと
彼女の微笑みが増した。

「さっ、早く帰ってケーキ食べようね!」



丁度来たばかりの京王線に乗り込むと、一駅の時間は
あっと言う間に過ぎた。

もはや、この駅には歩く人さえまばらで、灯りはコンビニの照明が
目立つくらいだ。





「寒くない?」

「寒いよ。けど、もう少しだから」

「手袋持ってくればよかった・・・
 さっきまで全然平気だったのにに・・・」

彼女はそう言うと自分の手に息をふきかけた。


その彼女の手を取ると、自分のコートのポケットに入れた。






「あれ?」

彼女は小さくそう言うとポケットから手を取り出した。
彼女の手には、チョコレートが・・・

「どうしたの?これ」

「あ…いや…あげるよ」

彼女は、一瞬戸惑う表情をしたが、すぐに笑って

「ありがと。いただきます!」

・・・あの時のチョコレート、ポケットに入れたままだった・・・


「さっ、早く返ってケーキ食べるぞ!」

もう一度、彼女の手をコートのポケットにいれ少し強く握った。








部屋に着くと、まずは暖房を入れた。
朝からずっと放置したままだったので
すっかり部屋は冷え込んでいた。

部屋があたたまるのも待たずに、彼女は早速ケーキを箱から出すと
あらかじめ買っておいたシャンパンを冷蔵庫から出した。

キャンドルに火をつけ少しの間だけ、その灯りだけで時を過ごした。








このまま時が止まればいいと思った・・・
そう感じたのが何故なのか、この時はわからなかった。

彼女がいて、ふたりの時間がそこにある。
イヴの夜の時間は、お互いが大切なものに気づかせてくれた
奇跡の時間だったのかもしれない。

だけど、そんな魔法も永遠に変わるには
何かが足りなかったのかもしれない。

FMから流れる曲は、イヴの夜にちなんで恋人達への曲ばかりが
流れていた。
そこには幸せな曲もあれば、哀しみの曲もあった。
そのどれもが、確かな愛を歌った曲ばかりだった。

Without You/Nilsson


No, I can't forget this evening
Or your face as you were leaving
But I guess that's just the way the story goes


今夜のことを 僕は永遠に忘れられないだろう
去っていく君の面影も 物語の筋書きは
僕らには変えられないものかもしれない








「そう言えば今年もツリー買えなかったね。」

ケーキを食べた事に満足したのか、彼女がどこか落ち着いて
話してきた。

「あ・・・そうだね。ま、来年買おうよ。」

「うん、やっぱり白いのがいいよ。全部白のホワイトツリー!」

「わかったよ。来年こそは買うよ。」

「約束だからね。ツリーがあったら完璧!」







その日彼女は、早々と眠りについた。

残された俺は、しばらくベッドにはいらず
彼女の寝顔を眺めていた。




同じ季節を何度もふたりで過ごしてきた。
イヴも今年で、4回目だった。

毎年、必ずこの日はふたりで過ごす。
そして、どの年のイヴもかけがえのない日になっていった。

最初の1年目はお互いがこのまま、すべての季節を一緒に
いれるのだろうか・・・と思っていたのだが
今では、次の季節もふたりで過ごすのは当然な事に思えた。
この時間はもはや、未来も約束されたもののように。



今でも、彼女をこうして見つめていると
最初に出逢った日の事を思い出す。

彼女はあの頃のままだ。

このままずっと同じ時間の中で過ごしていきたい。

いや・・・過ごしていかなきゃ・・・

イヴの夜も、もうすぐ終わろうとしていた。


来年のこの日も、彼女とふたりで同じ夜を過ごそう。
そして、その次の年も・・・
その次の年も・・・





大切なものは、いつも傍にあって
これからもずっと一緒にあるのだから・・・





























あの時に聴いていた曲は、あの頃のすべてを蘇らせる。
そこには、彼女がいて、俺がいる。
長い時間の流れの中で運命に涙がこぼれ
宿命にため息をついた事もあったけど・・・

彼女との時間は、何より大切な時間だったと
今でも思える。




あの時の俺がいたのは、君がいてくれたから。





果たせなかった約束・・・

ホワイトツリーは、ふたりで見る事ができなかったけど

今年のイヴも、君はどこかで微笑んでいると信じてる。





いつも傍にある一番大切なもの
いつも一緒にある一番かけがえのないもの

それを気づかせてくれたのは、確かに君だった。







そして、今年のイヴもこうして君を思い出させてくれた
奇跡に感謝しよう・・・










ANOTHER TIME  for CRISTMAS ~後編~   fin


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2007/05/06 | 00:08
ANOTHER TIMEコメント:1トラックバック:0
コメント
ちょっとした運動で痩せる太ももダイエットの方法です。 http://www.esthe-jenny.com/ 是非ご覧ください
2008-12-13 土  18:14:54 |  URL | 太もも ダイエット #- [編集]
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