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ANOTHER TIME ~Are You Gonna Go My Way~

ANOTHER TIME ~Are You Gonna Go My Way~


リニューアルをしたこの店はずいぶん変わっていた。
元々はゲーセンと建物を二分していたのだが
リニューアルしたそこには、ゲーセンは消えていた。
某有名メーカー直営のゲーセンはオープンも早いが
撤退も早かった・・・
そして、スロット専門店に変わっていた。
元からあったパチンコ屋部分は、あまり変わった印象はないのだが
パチンコ専門ではなかった。
隣にスロット専門があるのに、スロットのシマもあった。
ただし、全台バラエティーコーナーとなっていたのだが。


リニューアルオープンから3週間が過ぎたこの店には
今でも、朝から開店を待ち並ぶ人がいる。
以前は、午後に行ってもゼロ回転の台に、余裕で座れるほどだった
この店が連日、開店待ちの毎日。


確かに客は以前とは比べられないほどいた。
しかし、それまでのこの店をよく知る連中の中には
どうせ、最初のうちだけさ・・・
見た目がよくなっても中身は同じだよ・・・

そんな声も多かった。
当然、俺もその中のひとりだ。

それでも、朝から各シマは埋まっていた。
中にはプロの集団と思える奴らもいた。
一見賑わっているこの店の中で、どれだけの人が
ここをホームにしようと思っているのかはわからない。
いや、ほとんどが設定のいいうちに、稼げるだけ稼ごうと
思っているだけなのかもしれない。
出なくなれば、また他の店を探せばいいのだ。

しかし、俺はひとつの店で打ちたかった。
連日高設定の取り合いで、鉄火場となる店は望まない。
日当分を確保できるだけの設定を入れてくれればいいのだ。
ま、こんな思いは今のこの時代には合わないのかもしれないが・・・






開店から30分が過ぎようとしていた。
北斗や南国、番長、吉宗のシマはすでに満席状態だ。
平日だと言うのに、どうしてこんな地域に
こんなにスロット打ってる連中がいるんだ?

決して営業途中のサラリーマンとは思えない奴らの姿を見ながら
理解に苦しんだ・・・
そんな連中にまぎれる俺も、理解に苦しまれるのに十分値する。


ここ数日、ジャグラーのシマにしかいない俺は
時間ごとに入れ替わる客の中にも、常連らしい何人かを
覚えはじめていた。
リニューアルだから勝てるかも・・・
と期待して友達連れで来る客とは、あきらかに違う行動をする
ふたりがそこにはいた。
朝一から、とにかくジャグラー全台のデータをチェックして
台を決めていくふたり。
ひとりは20代半ばくらいの、今時の彼。
ひとりで来てるわけではない様子で、他の連中は
北斗を打ったり吉宗を打ったりと、その日により機種は様々だが
彼はジャグラーオンリーだった。

だが、終日は打たない。

嵌りをさけるように、投資から出玉を計算して
プラスのうちに交換する。
そして、新たにまた他の台をデータを見て決める。
この繰り返しを何度かして、彼の1日の稼動は終わる。
どんなにいても夕方過ぎに、彼を見た事はない。
それでも、、確実に日当は確保しているようだ。
こんな立ち回りで打つのは、ジグマでしかありえない。
あの歳で、あの立ち回りをするのだから経験値も高いと思う。

なかなか凄いんじゃないの?
この地域で、彼のような存在を知り、なんだか少し嬉しい気がした。
いや・・・この先彼の存在で自分の収支に
影響が出る可能性もある・・・
喜んではいられないのだが・・・


その後、彼は1年以上、毎日開店前に扉の前にいた。
そして、彼のスタイルで毎日ジャグラーを打っていた。


もうひとりは、20代後半くらいの彼女だった。
ロングで茶髪の彼女は、一見よくいる感じに見えたのだが
スーツを着ればそのまま大手企業のOLでもできそうな感じだった。
ただ、できそうだと思ったのは現実は毎日このホールに朝から現れているからだ。
少なくても、OLではないだろう。
最初は、彼氏と来てるのか?とも思ったのだが
常連の数人の男が、時々寄ってきて話はするものの
ここで、知り合いになったと言う感じだった。
きっとリニューアル当初から通っているせいだろう。
そんな彼女の立ち回りも、朝のデータ確認から始まっていた。

この店にはデータロボはない。
なので、データは各台の上に取り付けられた表示を
見ていくしかないのだ。
1台づつデータを見ていく彼女は、時々話しかけられる常連に
愛想笑いを返しても、それ以外の表情は
綺麗なお姉さんの表情ではなかった。
あの目は、スロプロの目だ。




一方、俺はどうかと言うと
・・・なんとなく適当だった。
データを見ても、全台見るわけでもない。
台の配置と、前日のボーナス回数から
据え置きを狙うか、上げを狙うか・・・
勘だった。
勘と言うより気分だったのかもしれない。

そして、今日は入り口に近い角から2番目に座っている。
理由は自販機が近いから。
そして、角台は昨日BBが40オーバーもしていたからだ。
下げ設定と言う予想だ。


ジャグラーのシマは5割程度の稼動だった。
他のシマは、ほぼ満席だが、いつ打っても変わらない純Aなら
高設定が見込める今、この客付きは納得だろう。

とにかく俺は、またあのクリアなGOGOランプの青い光が
見たかったのだ。
まして、この店に大勝ちができる期待など微塵もしていなかった。









ホールのガラス扉から、外が見える。
今日も外は太陽が照りつけているみたいだ。
この店内は空調も効いていて別世界なのだが
外の景色は見るだけでも、太陽に照りつく
アスファルトの温度が伝わってくるようだった。



夏の太陽の時間は長い。
温度が変わらぬこの世界の時間も長い・・・







気づくと、うしろのシマの彼の台がBB消化中だった。
投資2kと言うところだろうか。
日当分の安心はできないが、投資が少なくてすむのは
何よりの事だろう。
一方彼女は、まだ台移動を繰り返していた。
1台に3k以上使ったところを見た事がない。
現在、この店のジャグラーに高設定が連日あるのは確実だ。
しかし、初期投資が増えればその分リスクを背負う。
彼女のやり方も、また正攻法なのだ。


彼女が席を立った。
またデータを見ながら台を探し出している。
俺のうしろを通り過ぎ、2つ隣に座った。




彼女が通った時、甘いフレグランスの香りがしていた。




2kでBBをゲットした彼は、その後も調子よく当たっている。
すでにドル箱は1箱が満杯になりそうだった。
彼女は、3k目の千円札をサンドに入れていた。
これでダメなら、また移動する気か?
そう思い、自分の台も心配せず、ふたりの様子を気にしながら
俺は、ゆっくりと打っていた。

すると、投資5k目に沈黙していたランプが
静かに青く光った。
・・・こんなもんだろ・・・
リズムを止める事なく、BARを左から狙い
迷わず右にもBARを狙った。
BAR BAR BAR
あっさりBBだ。
ふと彼女の方へ視線を移すと、彼女は今までのリズムを止めていた。
ここからはGOGOランプが見える。
青い光は輝いていなかった。
しかし、彼女は「7」をテンパイして
最後のリールにも「7」を止めた。

無音だった。

自分の事より、どこか嬉しい気持ちがしていた。







BBの回数は、彼がこの日一番多く、早かった。
夕方には2箱のドル箱が、彼の頭上には置かれていた。
彼女も、嵌りなくは当たってはいるものの
メダルが増えるスピードは、それほど早くはなかった。



俺は・・・2回目の400嵌りを迎えていた。



17時を過ぎた頃、下皿がなくなった彼は
ためらいもせず席を立った。
2箱のドル箱を持ち、こちらの台のデータを一瞬見たものの
足早にメダルを流しに行く。
彼の今日の稼動は終了したのだ。

そして、彼がシマから去ったのと、ほぼ同時に
そのリズムを受け継ぐかのように、彼女の台が
ジャグ連をはじめた。
その勢いは、今まで力を貯めていたように
止まる事をしらないほどの連打だった。
あっと言う間に、2箱と下皿が満タンになっていた。

俺も、ようやく1箱は貯まったものの、
今回の嵌りは長そうだった。
ゲーム数は600を過ぎ、ランプは沈黙したままだ。

しかし、何故かあせる気持ちはなかった。
むしろ、淡々と打つ時間が心地よくさえ思えるほどだった。




スロットを打っている時は、たいていが自分の台のゲーム数や
確率の事を考えながら打っていると思うのだが
俺は、昔からそうではない。
特にこのジャグラーを打っている時には・・・

打ち始めの時こそ、台と向き合い設定やボーナスの事ばかり
考えているのだが設定を確信し、3000Gを過ぎたあたりからは
ホールのざわめきさえ遠くに感じていた。
そして、この大勢の客がいるホールの中、無言でいる事が不条理な
距離を保った隣人がいる空間で、なんだか孤独感を感じていた。
ただ、その孤独感は寂しさのものとは違っていた。

開放感・・・
自分だけの何事にも縛られない、存在しない時間・・・
そんな感じだった。


この時間はアナザーな時間。
この場所はアナザーな空間。


だから、気づけばいろんな事が頭をめぐった。
今日の俺は、もう何年も前に別れた彼女の事を考えていた。
彼女との時間は、決して後悔ではなかった。
パチンコやスロットには興味のなかった彼女なので
一緒にホールにいた事はないのだが、あの頃の俺は
今と同じようにスロットを打ちながらも
今とはどこか違っていた・・・











ドラムの風に煽られ、ボーカルの光に照らされ
ベースの音を道標に、マーシャルの前に立ち、自分がかき鳴らす
大音量のギターの波に身体をゆだねていたあの頃。
目の前のオーディエンスの顔は、ライブハウスのライトで
すべてが白く溶けていた。
スタジオとライブを繰り返す中でも、彼女との時間は十分にあった。
予定のない日々でも、お互いが好きだった曲と
手の届くところに、彼女がいるだけで十分だった。
俺はこの時間が続く事だけを信じていた。
会った頃は、あまり洋楽を知らなかった彼女も
そのうち、俺よりうるさくいろんなバンドの
話をするようになっていた。




そんな彼女とよく聞いていたのがレニークラビッツだ。
レニーはその風貌から、ブルースミューシャンが
お似合いだったが、楽曲は60年代、70年代の
エンターテイメント色あふれるロックをそのまま
90年代に蘇らせたアーティストだった。
そこには黒人の音楽、白人の音楽なんて隔たりはなかった。
どこか懐かしい曲達は、ある時はヘヴィーに
ある時は、サイケなほどに。
そして、バラードは果てしなく甘美だった。
繊細な彼は、そのすべての楽曲を自分で創り
すべてのパートを自分で演奏しCDを作った。
ライブでは、彼らしいメンバーを集め
バンドとして世界を回っていた。
職人とエンターティナーの両面を兼ね備えた、存在の彼は
一躍シーンに踊りでた。
レニーの存在は俺にとって、プリンス以来の衝撃だった。





Are You Gonna Go My Way/Lenny Kravitz



70年代を彷彿させるギターリフは、そのセンスのよさ
だけで、本物の確信ができた。



おれは遠い昔に生まれた
おれは唯ひとりの選ばれし者だ
この世を救うためにやってきた
それを成し遂げるまでここから去ることはない
だから、あんたたちもトライしてみないか


レニーは、繰り返すリフの中で、叫びだす。



当然だ!俺にはやりたい事があるんだ。
それができるまでは、ここから去る事なんて
考えてもいないよ。
今のこの時間が最高なんだよ。
すべてが。


俺と彼女との時間。
俺とギターとの時間。
そのすべては、どこまでも続く時間のように思えた。
そして、その先にはもっと最高の時が待っている事を
信じていた・・・











時間は、19時を過ぎたところだ。
ジャグラーのシマも、9割の稼動をしている。
今日は、全台④以上は確定しているみたいだ。
中には嵌っている台もあったが、それは確率の気まぐれだろう。
客達は、それでも閉店まで粘るよりある程度のプラスがあれば
仕事帰りにしては満足とばかりに、入れ替わっていた。

そんな時、彼女が席を立った。
足元のドル箱とボーナス回数を見ても
明らかに⑥は確定だった。
時計を見ながら、コールボタンを押すと
少しためらいながらも、その席をあとにした。
俺は反射的にマルボロを投げ入れた。

BB32回、RB24回
ゲーム数はちょうど100。

下皿にあるBB1回分ほどのメダルと頭上のドル箱を
元、彼女がいた席に移した。
そして、投入口にメダルを入れようとした時
特殊景品の箱を持った彼女が近づいてきた。
・・・データの確認か?
伸びた彼女の手は、データのボタンには触れずに、
頭上の俺のドル箱の隣へと伸びていた。
彼女は、バージニアの箱を取った。
一瞬目があった彼女は、自分が打てない事を
悔しそうにしているのかと思ったが
どこか微笑んでいるようにも見えた。

今から打っても出ないよ・・・
と言うひにくめいた微笑なのか・・・
頑張って・・・と言う意味なのか・・・

いずれにせよ、それほど気にする事でもないだろう・・・
そう自分に言い聞かせると、メダルを投入して
BETボタンとレバーを、ほぼ同時に叩いた。

閉店まで、あと2時間半。
ここからはブン回しだ!


マルボロに火をつけ
さっきまでとは違うリズムで打ち始める。



おれは唯ひとりの選ばれし者だ
この世を救うためにやってきた
それを成し遂げるまでここから去ることはない





アナザーな時間と空間の中に
甘いフレグランスの香りが漂っていた・・・


ANOTHER TIME ~Are You Gonna Go My Way~  Fin








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2007/05/01 | 07:08
ANOTHER TIMEコメント:2トラックバック:0
コメント
メディアの展開の考え方まで、ほとんど
同じ事に驚愕ですよ。

俺はファンタジー小説+自作音楽+「画像」で
電子書籍の線で、何かやると面白いかもと
mixiを始める前に考えてたんですけど……

なんか、コラボできそうですね(笑)


ブログの内容については、ほんとに実践結果と
店の詳しいレビューがメインで、臨場感とか色々
出すために、表現方法を色々考えてる感じの
作りですね。
ちょくちょく、こちらにも顔を出しますので宜しくです^^
2007-05-03 木  09:33:53 |  URL | ここにいる #9FpCp4YY [編集]
やっぱり初コメは、ここにいるさんですね☆

てか、書いてる本人が来るの遅いんですけどwww

そうですね、何かコラボできたら楽しいですね!

俺はここでは、短編といろんなジャンルのストーリー物
を書いていこうと思うのですが、しばらくは
ブログにあるパチンコ・パチスロのものを
再編集して、載せていこうと思います。

mixiではできない事が、ここではできるので
それを最大限利用していこうと思います。
ストーリーを演出する道具は、画像や音楽、動画と
たくさんあるので、それらを使って新しいものが
できればいいですね☆

ここいるさんの次なる進展にも、期待してます!
2007-05-04 金  03:19:05 |  URL | 葵 #- [編集]
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